相続に関する法律

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山本毅法律事務所 Q&A

Q&A

相続に関する法律が変わると聞きました。いつから、どのような点が変わるのでしょうか。

 相続に関しては、2018年7月6日に民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律(以下「改正法」といいます。)が成立し、同月13日に公布されました。改正法は公布後1年以内に施行され、具体的な施行日は政令で別途指定される予定です。
 改正法による変更点は多数ありますが、ここでは特に重要なものとして、配偶者の居住の権利について説明します。


  1. 配偶者居住権

     改正法では、遺産分割などによって、被相続人の生前に自宅不動産に住んでいた配偶者が所有権を取得しなくとも、引き続き自宅不動産に無償で住み続ける権利が取得できるようになりました。この権利を「配偶者居住権」といいます。


     この配偶者居住権について、次の事案を例に説明します。

    • Aが改正法施行後に死亡。
    • Aの相続人は妻Bと子Cの2名。妻BはA所有の自宅不動産に住んでいた。
    • Aの遺産は、5000万円相当の自宅不動産(借地権価格は2500万円)と、預金5000万円のみ。
    • 妻Bは老後の生活のためにAの預金を取得したい一方で、引き続き自宅不動産に無償で住み続けることを希望。これに対し、子Cは法定相続分どおりの遺産分割を主張し、自らの取り分が法定相続分よりも少なくなる遺産分割には応じない意向。

     上記の場合、これまでの法律では、妻Bが自宅不動産に無償で住み続けるためには、妻Bが自宅不動産の所有権を取得する必要がありました。しかし、そうすると、子Cが預金5000万円の全額を取得することになります。
     このような場合、妻Bは、自宅不動産に無償で住み続けることができる一方、預金を諦めるほかなく、老後の生活に不安を抱えることになってしまいます。


     そこで、改正法では、このような配偶者の生活不安を軽減するため、新たに配偶者居住権の制度を設けました。
    上記の例では、次のような遺産分割をすることにより、妻Bが自宅不動産に無償で住む権利と、老後のための貯蓄の両方を確保することが可能になります。

    • 妻B:自宅不動産の配偶者居住権(借地権価格2500万円に相当)と預金2500万円を取得。
    • 子C:自宅不動産の所有権(5000万円−借地権価格2500万円=2500万円)と預金2500万円を取得。

     以上のように、改正法では、配偶者が自宅不動産の居住権と、老後の貯蓄となる他の遺産の両方を確保できるよう、新たに配偶者居住権の制度を設けたのです。


  2. 配偶者短期居住権

     また、改正法では、遺産である不動産に無償で住んでいた配偶者は、被相続人の生前の意思にかかわらず、一時的に無償で自宅不動産に住み続ける権利が発生することになりました。この権利のことを、「配偶者短期居住権」といいます。
     先ほどの事例でいうと、妻Bは、遺産分割が成立するまでの間(遺産分割が早く成立した場合でもAの死亡から最低6か月間)、自宅不動産に無償で住み続けることができます。
     自宅不動産は遺産分割が成立するまで妻Bと子Cの共有状態になるのですが、妻Bは、その間に自宅建物の全体を住居として使用していても、共有者である子Cに使用料を支払う必要はありません。
     最高裁判所の判例によっても同様の結果が認められていましたが、法律上明確に定めた条文がなかったため、改正法によって「配偶者短期居住権」として明確に定められたものです。
     配偶者短期居住権は、Aが妻Bの住む自宅不動産を子Cに相続させる遺言などをしていた事例を想定して、新たに定められたものです。これまでの法律であれば、妻Bは、遺言などで自宅不動産を取得した子Cから退去を求められた場合、直ちに自宅不動産から立ち退かざるを得ませんでした。そうなると、妻Bは次の住まいの当てもなく自宅を失うこととなり、過酷な立場に置かれてしまいます。
     そこで、改正法では、このような事例においても、妻Bは、子Cの退去要求から6か月間は引き続き自宅不動産に住み続けることができることになりました。

     もっとも、これらの配偶者短期居住権は、遺産分割などの結果として設定される配偶者居住権とは異なり、あくまで一時的な権利ですので、配偶者はあらかじめ今後の住まいの目処を立てておくことが必要になります。


 このほか、遺言、特別寄与、遺留分など、さまざまな点が改正されています。
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