核密約文書

沖縄返還交渉をめぐり、当時の佐藤栄作首相とニクソン米大統領の間で交わされた有事の際の核の持ち込...

山本毅法律事務所 新着情報

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核密約文書

(2009-12-25)

佐藤元首相宅で発見

沖縄返還交渉をめぐり、当時の佐藤栄作首相とニクソン米大統領の間で交わされた有事の際の核の持ち込みに関する密約文書が佐藤元首相宅で発見されたと12月23日の読売新聞が報道しています。
明らかな公文書である密約文書を私邸で保管していたことは、許されないことと考えます。密約の是非はともかく、このような公文書は、次の政権に引き継ぎ、公文書館で保管すべきです。
密約の是非については、感情的になってはならず、我が国の安全保障の観点から冷静に考える必要があります。


非核三原則

これまで佐藤元首相以降の歴代内閣は核を作らず、保有せず、持ち込ませずとの、いわゆる非核三原則を堅持するとの説明を行ってきました。しかし、日本がアメリカの核の傘に守られていることとは矛盾することは明らかで、有事の際には、アメリカの核の持ち込みに同意するとの密約の存在すると言われていたものです。
国民に嘘の説明をしていたことはもちろん問題ですが、ここで最も重要なことは、周辺の中国、ロシア、北朝鮮の核保有国に対して、我が国の安全保障をいかに確保するかです。
また、外交文書の保管、公開についてのルールを定めることも当然必要です。どのように重要な文書も50年経過すれば公開するとすれば、外交の秘密性と後世には公開されて批判をあびることを覚悟させることにより国益が守られ、国民の知る権利も守られると考えます。


有事の際の核持ち込みは必要

我が国の安全保障のためには、有事の際には米軍の核持ち込みがありうるとした方が良いことは明らかです。核は、実際に使用することはできないが、保有することによる抑止力が重要です。
我が国は、広島、長崎の悲惨な被曝体験があり、日本が核を製造し、保有することはできませんが、有事の核持ち込みがありうるとすることは、現実主義の観点から容認すべきものです。
今回の密約文書の発見が現実的な防衛政策の選択につながることを期待します。